社会保険の適用拡大

オンラインにて子育てファミリーの家計相談をおこなっている 塙 です。

 

朝晩は、冷え込む日が多くなりました。

あっという間に11月です。本格的な冬に向かいます。身体を冷やさないようにし、体調管理に気をつけて過ごしましょう。

 

2022年10月より社会保険の適用が拡大されます。

どのように拡大されるのか、現状の社会保険制度から確認しましょう。

 

社会保険には、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つがあります。

医療保険

病気・ケガにそなえるもので、国民全員が必ず加入します。

(国民皆保険)

*健康保険 サラリーマンまたはその家族が加入

*共済組合 公務員またはその家族加入

*後期高齢者医療制度 75歳以上の方が加入

*国民健康保険 無業者、個人事業主など上記3つ以外の方が加入

 

 

年金保険

20歳以上60歳未満のすべての方は国民年金保険に加入します。さらに、サラリーマンなどは厚生年金保険に加入することになります。

 

*国民年金 20歳以上60歳未満のすべての方が加入

*厚生年金 会社員、長時間働くアルバイト、公務員が加入

 

介護保険

介護が必要になったときにそなえるためのもので、40歳以上の方は全員加入。

 

雇用保険

失業などにそなえるもので、雇われて働く方が加入。

 

労災保険

仕事上の病気・ケガにそなえるもので、雇われて働く方が加入。

 

 

2種類の扶養

*税制上の扶養

夫が妻を(妻が夫を)扶養に入れることで、配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができるものです。これによって、夫(妻)の所得税や住民税が節税できます。

103万円

例えば、妻のパート、アルバイトなどの収入が103万円以下であれば、夫は38万円の配偶者控除を受けることができます。

この配偶者控除は、妻の収入が103万円以上になると適用されなくなります。また、103万円を超えると、所得税がかかるようになります。

給与収入が103万円以下

夫 配偶者控除を受けて節税

妻 所得税がかからない

夫の給与収入が一定額を超えると控除額の段階的な減額や、控除対象外となることもあります。

 

150万円

妻の収入が103万円を超えても、150万円までであれば、夫は配偶者特別控除を受けることができます。配偶者特別控除は、150万円を超えると徐々に少なくなります。

150万円~約201万円になると、配偶者特別控除は適用となりますが段階的に減額されます。

 

 

*社会保険上の扶養

夫が妻を(妻が夫を)扶養に入れることで、妻(夫)は健康保険料や年金保険料を支払わなくても、健康保険に加入でき、年金を別途納めたりする必要がなくなるものです。

106万円

例えば、妻が働く会社の規模が一定以上の場合、給与収入が106万円以上になると社会保険に入ることになります。

月8万8000円×12で計算

賃金が、年額で106万円になると配偶者の扶養から外れると言われていますが、実際には年間の賃金ではなく月間の賃金で計算されます。賃金が月8万8000円以上になり、さらに社会保険の適用要件を満たした場合に、社会保険に加入することになります。

 

130万円

一定以上の会社規模などの条件に該当しない場合でも、収入が130万円を超えるとすべての人が社会保険に加入することになります。

標準報酬月額11万円×12で計算

130万円の壁とは、配偶者等の扶養に入れるかどうかという壁です。年収が130万円を基準として、社会保険を適用するかどうかを健康保険組合等が判断します。

標準報酬月額は、残業代、通勤手当、賞与を含みます。社会保険の適用要件の賃金は残業代、通勤手当、賞与は含みません。

 

働く人たちのイラスト

短時間労働者の社会保険加入要件

1週間の所定労働時間または1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上の人

 

2016年10月以降

(1)事業所の規模が被保険者常時501人以上

(2)所定労働時間が週20時間以上

(3)賃金が月8万8000円以上

(4)雇用期間が1年以上の見込み

(5)学生ではない

 

2022年10月以降

(1)の事業所の規模が常時501人以上から常時101人以上

(4)の雇用期間が、1年以上の見込みから2ヶ月を超える見込み

 

2024年度10月以降

(1)事業所の規模が常時101人以上から常時51人以上になる予定

 

厚生労働省 社会保険定期用拡大特設サイト

https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/

 

短時間労働者として働く場合、社会保険に加入することによるメリットとデメリットがあります。

 

社会保険加入のメリット

 

①社会保険の保険料は労使折半となっており、企業が保険料の半分を負担、自己負担は半分で済む。

②夫の扶養家族であれば対象外ですが、健康保険に加入することで傷病手当金、出産手当金を受け取るなど手厚い保障を受けられる。

傷病手当金 病気やケガで仕事を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に休業中の生活を保障するため支給されるお金

出産手当金 出産のため仕事を休むとき、事業主から十分な報酬が受けられなかったときに、出産日前42日から、出産日後56日間まで仕事を休んだ日数分が支給されるお金

どちらの保障も、だいたい給与の3分の2が支給。

 

③病気やケガで障害を負ってしまった場合、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金を受け取ることができる。障害年金は、障害の状態のままであれば継続して支給。

 

④厚生年金に加入しておけば、将来受け取る年金が上乗せになります。

 

社会保険に加入することで、手取り額は減りますが、手厚い保障が得られます。

 

社会保険加入のデメリット

保険料を払うのでその分の手元の収入が減ることです。また配偶者の扶養に入っている場合は、配偶者の扶養から外れることになります。

 

 

年収103万円以下

所得税・社会保険料共にかかりません

 

年収106万円~130万円

103万円を超えると所得税がかかります。毎月8.8万円以上の収入を得ると厚生年金をはじめとした社会保険料の対象となります。130万円くらいまでは、負担が出てもそれほどの金額にはなりません。

 

年収130万円~150万円

年収が増えても負担も増えるため、手取りが増えない。働き損のように感じるかもしれません。

 

年収150万円以上

150万円を超えると負担も大きくなりますが、収入が大きいので、世帯全体の収入は増えます。

 

臨時収入に喜ぶ家族のイラスト

お子様が小さいうちは、保育料などなにかと出費がかさみます。働いた分がそのまま、保育料などに消えてしまい、貯蓄にまわせないとなっては、結果的に家計の収入増にはつながりません。

 

働くということは、収入のためだけではないという方もいらっしゃると思います。損得だけで働いている方ばかりでもないことでしょう。職場環境によっては、これ以上は損になるかもしれないので働きませんとも、言いにくいこともあります。

 

ご自身や、ご家庭の状況やライフスタイルに合わせて、どのくらい働く方がベストなのかを判断することも必要です。

 

 

 

 

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