オンラインにて子育てファミリーの家計相談をおこなっている 塙 です。
梅雨のすっきりしないお天気が続いていますね。梅雨の時期は、体調を崩しやすい季節です。無理をせずに過ごしましょう。
ご自身やご家族の給与明細を、確認されている方は、なんだかたくさん引かれているな、、、と感じることはないですか?
毎月の給与明細を確認すると、厚生年金保険料として、少なくない金額が天引きされています。
この給料から引かれている厚生年金保険料の金額は、標準報酬月額によって決定されています。
標準報酬月額は、厚生年金保険料の金額や将来、受け取る老齢厚生年金の金額にも影響を与える大事なものです。
標準報酬月額とは
社会保険には以下の5つがあります。
厚生年金保険
健康保険
介護保険
雇用保険
労災保険
標準報酬月額とは、ご自身と企業で負担をする厚生年金保険・健康保険・介護保険の3つを算出するための基準となる報酬のことをいいます。健康保険では都道府県ごとに1~50等級、厚生年金保険は1~32等級に区分されています。
都道府県別 標準報酬月額表
http://www.team-cells.jp/hyoujyun/hyoujyunhousyu.php
この標準報酬月額と税金が引かれる前の賞与総額から1,000円未満を切り捨てた標準賞与額によって、保険料や保険給付の額が計算されています。
標準賞与額とは
標準賞与額は、支給された賞与額の1,000円未満を切り捨てた額となります。
標準賞与額には、健康保険・厚生年金ともに上限があり、一定の上限を超える標準賞与額には健康保険料・厚生年金保険料は、かかりません。
標準賞与額の上限
健康保険では、毎年4月1日~翌年3月31日の累計が573万円まで、厚生年金の場合は1ヵ月ごとの上限が150万円までです。
特に健康保険の標準賞与額は、年度をまたいでしまう場合とまたがない場合で、保険料に大きな差が出てしまいます。
標準報酬の対象となる報酬
- 基本給
- 手当(役付手当、特別勤務手当、勤務地手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、早出残業手当等)
- 企業から現金・現物で支給されるもの
標準報酬月額の決定方法と時期
標準報酬月額は基本的に、毎年1回、4~6月の報酬額の平均で決定されます。
①算定基礎届
事業主が、被保険者の実際の報酬と標準報酬月額とにおおきな差がでないように、毎年4~6月の報酬月額を提出。
②定時決定
この算定基礎届にもとづいて、毎年1回、標準報酬月額が決まること
定時決定で決まった標準報酬月額はその年の9月から翌年8月まで適用されます。
また、子育て中の方は、すでに利用されているという方も多い育児休業。育児休業をとっている場合、休業中にも社会保険が適用されています。育児休業をおえて、会社へ復帰した場合、復帰後の報酬と、育児休業中の実際の報酬にはかなりの差が生じます。
そのため、育児休業などをおえた時点で、標準報酬月額を改定した「健康保険・厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届」を会社から提出してもらう手続きが必要となります。
社会保険料=健康保険料(標準報酬月額×健康保険料率×0.5)
+厚生年金保険料(標準報酬月額×厚生年金保険料率(0.18)×0.5)
+介護保険料(標準報酬月額×介護保険料率×0.5)
健康保険料
健康保険料=標準報酬月額×健康保険料率×0.5
健康保険料率は、加入する組織が健康保険組合か、全国健康保険協会(協会けんぽ)かによって異なります。また、協会けんぽは都道府県によって料率が異なります。
厚生年金保険料
厚生年金保険料=標準報酬月額×厚生年金保険料率×0.5
厚生保険年金利率は、健康保険組合、協会けんぽのいずれも18.30%です。
介護保険料
介護保険料=標準報酬月額×介護保険料率×0.5
介護保険は40歳以上64歳未満の方が、健康保険料と合わせて徴収されます。介護保険料率は組合健保の場合、所属する組合によっても異なってきます。
協会けんぽは毎年変動していますが、全国一律となっていて、健康保険のように都道府県別の違いはありません。
社会保険に含まれる、雇用保険・労災保険料の保険料の計算に標準報酬月額はかかわってきません。
全国健康保険協会 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/
残業代が増えると標準報酬月額が上がる?!
定時決定では、基本給のほか残業代などの各種手当も算定対象となります。
定時決定において算定の根拠となる報酬月は4月、5月、6月です。つまり、4月、5月、6月に支給される残業代が増えれば増えるほど、定時決定される標準報酬月額の等級が高くなっていき、結果として社会保険料の負担も大きくなります。
定時決定によって決められた標準報酬月額は、固定給の変動などによる随時改定の対象となる場合を除いては、翌年の定時決定まで変更されることはありません。
7月になったとたんに、業務が落ち着いて残業がまったくなくなってしまっても、定時決定の対象期間である4月、5月、6月に決定した高い等級で保険料を払い続けることになります。
残業は、業務量の増加や人手不足、業種によっては時期的なものなど、必要性があるため発生するものです。
保険料が高くなるから残業しません!
とは、なかなか言えないものです。
また、支給月は、4月、5月、6月ですが、この支給にあたり実際に働いた月は、おそらく前月にあたるため、3月、4月、5月の残業が影響することになります。
算定の根拠となる報酬は4月、5月、6月ですが、これはあくまで4月、5月、6月に支払われた報酬です。一般的な残業代の場合、月末締めの分が翌月の給与として振り込まれることがほとんどです。月末締めの翌月払いの場合、4月に支払われる残業代は3月の残業時間の額になります。
働いている会社によっては、必ずしも月末締めの翌月払いではないケースもあります。
ご自身の会社の締め日と支払日も確認してみましょう。
また社会保険料は、将来受け取る年金額に影響してきます。
厚生年金保険料が少なくなるということは、それだけ将来もらう年金も少なくなるということでもあります。
日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/index.html
標準報酬月額が増えると受給額が増えるもの
- 遺族厚生年金
支給年額には、平均標準報酬月額が影響します。平均標準報酬月額とは、被保険者であった期間の標準報酬月額の平均値のことで、平均標準報酬額は、期間中の標準報酬月額と賞与の合計額の平均値を指します。標準報酬月額が増えれば支給年額も増えるので、その分保障も手厚くなります。
- 傷病手当
支給日額は、支給開始以前の12か月間の各月の標準報酬月額の平均×1/30×2/3
です。標準報酬月額が増えれば支給日額も増えます。
- 出産手当
支給日額は、支給開始以前の12か月間の各月の標準報酬月額の平均×1/30×2/3
です。標準報酬月額が増えれば支給日額が増えます。
- 育児休業給付金
支給日額は、6か月まで休業開始時賃金日額×67/100、6か月以降は休業開始時賃金日額×50/100です。休業開始時賃金日額とは、育児休業開始前6か月間の総支給額を180で割った値のことです。標準報酬月額と同様、賞与を除く残業代などの各種手当も考慮され、標準報酬月額が増えれば支給日額も増えます。
4月、5月、6月の残業は本当に損?!
社会保険料が増える負担があっても、将来の年金のため、または貰える手当のことも考えると必ずしも損と言えないのではないでしょうか。
また、年金のことを考慮せずに、手当などを貰う予定がない場合は、等級が上がり社会保険料が高くなる事は、毎月の負担が増えているだけに感じるかもしれません。
将来のことも考えつつ、毎月の家計管理もおこなえれば、負担だけを感じることも少なくなるかもしれません。
時間にゆとりのある時に、ご自身の給与明細を確認してみましょう。
塙
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