オンラインにて子育てファミリーの家計相談をおこなっている 塙 です。
梅雨とは、思えないほどの夏日が続いています。
熱中症に気をつけて、炎天下での外出はできるだけ控えましょう。
10月以降に火災保険の値上がりが予定されています。
値上げの影響を受けるのは、2022年10月1日以降に、始期日を迎える火災保険 です。
(損害保険料算出機構が、火災保険の参考純率を全国平均で10.9%引き上げると発表しています。)
損害保険料算出機構
https://www.giroj.or.jp/ratemaking/fire/202105_announcement.html
火災保険の値上げは、ここ数年で3回おこなわれています。
2015年 平均3.5%引き上げ 火災保険の契約期間が最長36年から10年に
2019年 平均5.5%引き上げ
2021年 平均4.9%引き上げ
2022年 10月以降 平均10.9%引き上げ 火災保険の契約期間が最長10年から5年に
今回の改定で、火災保険の最長契約期間が10年から5年に変更されます。火災保険は、1年単位で契約するより、長期間の契約をして一括で保険料を払った方が、1年あたりの保険料は割安になる傾向があります。
値上がりの背景には、ここ数年での大規模な自然災害と築年数の古い建物が増えたことなどが理由としてあげられます。
ここ数年は、自然災害の被害が各地でありました。台風、豪雨など風水災の影響で、火災保険の支払保険金額と支払件数が増加したため、参考純率の見直しが行われました。
参考純率とは、損害保険各社でつくる損害保険料算出機構が算出する、純保険料率の目安のことです。保険料や支払われた保険金、支払件数などの統計をもとに、参考純率が算出されています。
この参考純率は、純保険料率を決める際の参考です。参考純率をそのまま純保険料率に採用する保険会社や、保険会社の商品に応じて修正をした数値を採用する保険会社もあります。
保険料率は「純保険料率」と「付加保険料率」の2つから構成されています。
改定率は建物や地域で異なります。実際の改定率は、建物の構造や都道府県などに応じて異なっており、引き下げられている場合もあります。
火災保険料の参考純率が見直される背景
台風や豪雨などの自然災害で保険金の支払いが増加し、火災保険の収支が悪化している。
2017年度
台風18号 300億円 1378億円
台風21号 1078億円
2018年度
7月豪雨(西日本豪雨) 1520億円 1兆3578億円
台風21号 9202億円
台風24号 2856億円
2019年度
台風15号(令和元年房総半島台風) 4244億円 9150億円
台風19号(令和元年東日本台風) 4751億円
10月大雨 155億円
2020年度
7月豪雨 848億円 1780億円
台風10号 932億円
日本損害保険協会より
火災保険は、大規模な自然災害が発生すると、支払う保険金が大きく増加します。
この自然災害による被害が拡大している原因は、地球温暖化の影響と言われています。気温が上昇すると、雨の降らない日が増え、水蒸気が空気中にため込まれ、強い台風や豪雨が発生しやすくなってしまうためです。
国土交通省 気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq19.html
築古物件の増加
また、年数を経過している築古物件の割合が増加していることも、見直された理由の1つです。中古物件は新築や築年数の浅い住宅よりも、建物本体や電気設備、給排水設備などが老朽化しているため、自然災害によって損害を受けるリスクが高くなってしまいます。
頻発する大規模な自然災害、災害発生時に損害を受けやすい築古物件の増加
保険金の支払額が増加
損害保険料算出機構は火災保険の参考純率の引き上げ
今後も大規模な自然災害が発生する可能性があり、その将来的な災害リスクの予測は、困難であるといわれています。
加入している火災保険の補償の確認をしましょう
医療保険は、見直しをする方も多くいらっしゃいますが、火災保険については、あまり見直したことがないという方が多いように感じます。
更新手続きの際に、見直しを検討される方がほとんどです。
10月以降の更新の方は、更新をむかえる前に見直しをしましょう。
火事や水害、地震などの万が一の災害時に財産を守ってくれる火災保険、ご自身の家の状況にあっているか確認しておくことは大切なことです。
必要以上の補償に入っている場合は、保険料がもったいないですし、補償が不足していた場合は、万が一の際に受け取る保険金だけでは必要な費用が足らないことになってしまいます。
必要な補償にして、保険料負担をできるだけ安くするには定期的な保険の見直しが必要です。
補償範囲の見直し
火災保険は、火災をはじめ落雷や破裂、爆発、風災、雪災、盗難などにより保険の目的である建物や家財に損害が生じた場合等に保険金が払われます。
補償内容と保険料をよく考慮しましょう。
*家財も心配なので家財の補償を付帯する、または保険料を考えるとその分を貯蓄し対応したいため、家財の補償をはずす。
*ハザードマップなどを確認し、自分の住んでいる地域が水害のリスクが低いと判断できる場合は、水災の補償をはずす。または縮小する。
*地震が心配なので地震保険も付帯する。
火災保険とあわせて、地震保険も確認
地震保険は、加入していない方もいらっしゃいます。また、地震保険は単独では加入できず、火災保険とセットで加入する必要があります。
また、地震保険は政府と損害保険会社が共同で運営する公共性の強い保険のため、どこの保険会社で加入しても、補償内容、保険料は同じです。
地震保険は、地震を原因とした損害を補償するものです。
地震による火災の損害は、火災保険では補償されません。
保険料を必要な補償にあわせておさえつつ、ゆとりができた分は万が一のときの資金として蓄えておくことも大切なことです。すべてを保険で補おうとすると保険料が増大し、家計を圧迫してしまいます。
①建物の評価額の見直し
火災保険の建物の保険金額は「時価」と「再調達価格」があります。ご自身の加入している契約はどちらですか?
時価とは、同じものを購入する際に、経年や使用の消耗分を差し引いた現在の価値のことをいいます。
時価の場合だと火災などで全焼してしまった場合に、現在と同程度の建物を新築することができません。
現在の火災保険は、時価額ではなく、再調達価格で保険金額を設定することが一般的です。
建物の再評価は可能なので、再調達価格で保険金額を設定し、万が一の場合には新築にすることができるような保険金額かどうかも検討してみましょう。
②契約期間の見直し
火災保険には長期契約割引があり、契約期間が長いほどトータルの保険料は安くなる傾向があります。
現在加入中の火災保険が1年更新の方は、5年契約を検討してみましょう。
③免責金額の見直し
免責金額とは、保険金支払いの対象となる事故があった場合、自分で負担する金額のことです。
免責金額を高く設定すると、事故発生時の自己負担額は大きくなりますが、保険料は安くなります。免責金額を設定することで、保険料を節約することができますが、事故の際には設定した免責金額が差し引かれることを理解しておきましょう。
④割引制度の確認
加入している保険会社の契約でどのような割引制度があり、ご自身が使えるものがないかを確認しましょう。
<火災保険>
新築物件割引、ホームセキュリティ割引、オール電化住宅割引など
<地震保険>
建築年割引、耐震等級割引、耐震診断割引、免震建物割引など
今後、保険料の値上がりが続いてしまうと、家計を圧迫してしまう可能性もあります。
加入している契約内容を確認し、万が一のときに保険で補うものと貯蓄で補うものを考えてみましょう。
見直しをしても保険料の負担が大きい場合でも、火災保険をやめてしまう(契約しない、または更新しない)という選択はやめましょう。万が一の際に、惜しんだ保険料よりはるかに大きな金額を支払う事態もありえます。
塙
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